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解析結果を表2.2.3−7、表2.2.3−8に示す。この解析結果からは、動揺刺激要因単独での重要度はあまり大きくはないことがわかる。また、動揺刺激要因は、生理的要因や心理的要因と複合すると相乗効果が働き、はじめて重要度が大きくなることがわかる。
表2.2.3−8に示される結果の持つ重要な意味は、乗り物酔い、乗り心地の影響を及ぼすと考えられる要因には被験者各個人の感覚的個人誤差に基づくと考えられる従属関係が存在するため、個々の要因に重要度の総和が0.58と非常に低くなるにも拘わらず、動揺刺激要因あるいは生理的要因徳見合わせて評価する場合には、相乗効果が働いて重要度は0−84と極めて大きくなり、さらに、全ての要因を合わせて考慮すると重要度は1.06と確率測度では表現することのできない相乗効果が現されることになる。この点は、従来の因子分析法や表2.2.3−6に示される重回帰モデルでは表現することのできない利点である。
以上の結果から、加法性を仮定した確率測度で重要度を表現させても、全体的な傾向を把握することができるが、他の要因との相互作用を把握できないことが明らかとなった。ここに示した解析結果のように、乗り心地の評価とその要因との関係を明らかにするためには、相乗効果や相殺効果も考慮する必要があり、要因間の相互作用も考慮できるファジィ測度で重要度を表すことが有効であると考える。
しかし、ファジィ測度で評価項目の重要度を表現するためには、評価対象に対して影響を及ぼしている全ての評価項目を取り扱う必要がある。そのためには、全ての評価項目の組合せについて、ファジィ測度を同定しなければならない。一般に、ファジィ測度は評価項目数nに対して、(2n−1)個のファジィ測度を同定する必要がある。従って、ここまでのファジィ測度では、評価項目の数が増えると同定しなければならないファジィ測度の数が爆発的に増えてしまうため、全てのファジィ測度を同定することが困難となる場合が発生する。現状では、評価項目を増やすことは容易ではなく、5個程度の評価項目しか取り扱えない。乗り心地評価には複雑に影響しあう多数の評価項目を評価しなければならないから、十分な説明が極めて困難となることがある。

表2.2.3-8 ファジィ測度による各要因の重要度の同定結果

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d)心理的変化の解析法、結果の評価および総合評価のシミュレーション
心理的影響のような人間の感覚、情動の大きく左右される要因を正しく評価する場合には、従来か

 

 

 

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